身の回りには、見えるところにも見えないところにも多種多様なバネが使われている。コウリョウのバネの守備範囲もとても広い。太さにして0.4ミリ〜7.0ミリ、製造個数も2個3箇という小口受注があれば、月産50万本の量産もする。引っ張る、押す、捻るなどその機能もさまざまだ。農家で大活躍する軽トラックの荷台や、出前持ちの定番バイクにもここのバネが活躍している。
完全地産の参加企業の中では、最も規模が大きく、従業員数は40名。伊那市の美和湖のほど近くに会社はある。かつては、二輪車用のバネが生産の7割を占めたが、顧客の海外移転もあり、今は四輪車用バネの割合が大きくなっている。主力が移っても、地域で生き残っていけるのは、同社の生産能力が柔軟だからだ。
ご当地お土産プロジェクトの第一弾「サクラコマ」に使うバネの製造依頼が飛び込んできたとき、納期までの時間はひと月しかなかった。市役所職員と一緒に会社にきたスワニー橋爪社長によると、規格品のバネで試してみたが、どうも不具合が出るらしい。何とかならないかと頼まれた。
バネ屋に仕事が来るのは、いつも最後だ。だからコウリョウ橋爪社長は、突然の依頼にも、短い納期も気にしない。「うちはやれることはやりますので」と、一週間で3〜4種のサンプルをつくった。このスピード感こそ中小企業の強みだ。そして、ひとつの完成品をつくりあげる企業が、すぐ近くにいることで、膝つき合わせて現物で製品を評価することで、最適なテンションのバネを納期内につくりあげた。
橋爪社長は言う。「このプロジェクトを通して、同じ地域にある企業同士が互いを理解できたことは大きかった。また、完成品を世に出すことは、ふだん表に名前の出ない中小企業にとって、いい宣伝効果になりまね」
製造業ご当地お土産プロジェクト
完全地産
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