よく手入れされた工具類、機械油の匂い、製品を加工した際にでた金属の切削くずのきらめきに、昔ながらの金属加工職人を思う。まさに昔ながらの町工場だが、会社があるのは、町というより山あいだ。鋳物のダルマストーブに端材を焚いて暖を取り、池上社長は黙々と機械に向かう。昔は車の油圧ホースの金具づくりがメインだった。その経験を活かし、今はさまざまな製品の二次加工も含めた金属加工を手がける。
異業種の交流を進めようとの取り組みは、これまでにもあった。だが、懇親会などを重ねても、実際の仕事に結びつくことはなかった。「このプロジェクトは、商品ありきだからうまくいった」と社長の池上は言う。ただの玩具でも、完成品だからつくるのが面白い。現実にものづくりを通して、異業種の人の話が聞けるのもためになった。そして、完成品を自らで売るから多くの人に自分たちの技術を知ってもらえると、その可能性を信じる。
ご当地お土産プロジェクトでは、「サクラコマ」の金属ボディと、「イーナちゃん」のカラクリとなる重りを手がけた。前者では、樹脂部分とのつなぎに、径2ミリのステンレス製のネジを本体に立てた。他の金属より値は張るが、めっきの手間が省けるからだ。そのステンレスには、切削しやすさより、表面の仕上がりのきれいさや耐食性などを優先してSUS304を選択した。
今後について池上社長は、「プロジェクトチームのどこが窓口になっても、完成品ができるようにすること、工業製品にお菓子も加わったように、さらに連携の幅を広げること」と話す。
製造業ご当地お土産プロジェクト
完全地産
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