運営する「輪っこはうす・コスモスの家」は、利用者それぞれのペースを大切にしながら、障害者の社会参加を目指す場だ。働くことを意識した角度から、利用者の可能性を引き出すことに重きを置き、この先個々が自立した社会生活を送るためにも、責任あるものづくりを大切にしている。
事業内容は、企業や公共機関からの受託作業、清掃や農作業といった施設外就労、花卉や農産品、食品の卸品販売のほか、施設内で自主製品の製作もしている。
完全地産のプロジェクトに参加したことで、企業からの受託作業も近年増えてきており、地域からの信頼を寄せられている。福祉がものづくりに関わることの意義は、施設利用者の就労の場が広がることに留まらない。一般企業の下請けでは、見過ごされてしまう可能性のある不具合を、先入観を持たない視点で気付くことができる。もちろん、利用者にとっては、多様な業種と接点ができれば、社会を学ぶ機会がそれだけ増える。
完全地産では、「サクラコマ」の組み立てと、「とことこイーナちゃん」の梱包作業を請け負った。ふだん地元企業から請け負う作業は、最終製品になったとき、どこに使われる部品か、ここの作業者が知ることは少ない。だが、プロジェクトの正式な一員として加わった完全地産では、完成品をここで見ることができた。「サクラコマ」については、自分たちで販売もしたから、「売れれば自分たちの仕事になる」という意識も芽生えた。
それに、「サクラコマ」や「イーナちゃん」は製品を見ているだけでも、組み立てていても楽しい。施設利用者にとって、これは大きな歓びだった。
利用者の士気は余計に上がり、たとえば、ミス無くスムーズに作業するため、「サクラコマ」では治具づくりを組立の現場から提案した。「イーナちゃん」では梱包する部品に過不足がないよう、写真付きの部品トレーを手作りした。数字に強い利用者は、進んで検査係を買って出た。この仕事を通して取材が増えると、場数を踏んだ分だけ堂々としてコメントも上手くなった。利用者の成長を実感している。
製造業ご当地お土産プロジェクト
完全地産
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